ある晩、男が夢をみていた。
夢の中で彼は、神と並んで浜辺を歩いているのだった。
そして空の向こうには、
彼のこれまでの人生が映し出されては消えていった。
どの場面でも、砂の上にはふたりの足跡が残されていた。
ひとつは彼自身のもの、もうひとつは神のものだった。
人生のつい先ほどの場面が目の前から消えていくと、
彼はふりかえり、砂の上の足跡を眺めた。
すると彼の人生の道程には、
ひとりの足跡しか残っていない場所が、
いくつもあるのだった。
しかもそれは、彼の人生の中でも、
特につらく、悲しいときに起きているのだった。
すっかり悩んでしまった彼は、
神にそのことをたずねてみた。
「神よ、私があなたに従って生きると決めたとき、
あなたはずっと私とともに
歩いてくださるとおっしゃられた。
しかし、私の人生のもっとも困難なときには、
いつもひとりの足跡しか残っていないではありませんか。
私が一番にあなたを必要としたときに、
なぜあなたは私を見捨てられたのですか?」
神は答えられた。
「わが子よ。 私の大切な子供よ。
私はあなたを愛している。
私はあなたを見捨てはしない。
あなたの試練と苦しみのときに、
ひとりの足跡しか残されていないのは、
その時は わたしがあなたを背負って歩いていたのだ。」
人生には、楽しい時、辛い時、喜びの時、悲しみの時、
色んな場面がありますよね。
いくら超前向きな人も、悲しい時には、
やっぱり悲しくなってしまう…
でも振り返ってみると、
いつのまにか、その悲しみがフト軽くなっている。
寄り添ってくれる家族、仲間、恋人、
そして自分の志に助けられている。
それは、もしかすると、
もう一つの意思がそうさせているのかもしれませんね…